いつもいつもいつも僕は恋するんだろう

滝沢歌舞伎に行ってきた話。
全体のおおまかな内容の話は、そもそもわたしがそんなに冷静に見ていられなかったので無理です。次行くときこそ冷静に全体を見られるようにがんばる。ので、今回は内容にはほとんど触れずに、とても主観的な話。


わたしは今は渡辺くんのファンで、渡辺くんを中心に据えてジャニヲタをしているわけなんですが、そうなるきっかけのうち一番大きかったのが去年の歌舞伎でした。「まあ、割と好き」というくらいだったはずなのに、去年の歌舞伎で完全に叩きのめされたというか。だからわたしにとって博多座も滝沢歌舞伎も特別で、今年も歌舞伎の上演が決まったとき、行こうかどうか正直すごく迷いました。博多座で見た歌舞伎がわたしに与えた影響はそれはそれは大きなもので、実際そのまま担降りまでしちゃったんだから、博多座の思い出は唯一無二のものでした。「思い出補整」なんていう言葉もあるけれど、でもきっとこんな強烈な印象を残す公演にめぐり合うのはそうそうないと思っていたのです。まあ、担降りにつながるようなそんな強烈な公演がそう何度もあっても困るんですけどw

で、そんな風にわたしの中で歌舞伎は特別だったし、特別なままにしておきたいという気持ちもあったので、今年も歌舞伎に行くことに初めはすごく躊躇しました。去年のあの時の自分の記憶を上書きしたり、違うもので染め直したりしたくなかったんです。でも、まあ、行くことにしました。だってやっぱり渡辺くんが好きだし、見たいし。歌舞伎に出ている渡辺くんも好きだし、見たいし。

チケットを取って、新幹線に乗って、演舞場まで向かって、座席について、正直「これだけ個人的な思い出を積み重ねてハードルも上げまくって、さあ、こんな状態のわたしをどうする?」ってかんじでした。「あの時の強烈な印象に拘ってるわたしをどうする?」って。でも、そんなふてぶてしさを、驚くほどひょいっと越えてしまうこともあるんですね。「春の踊りは」 \よーいやさー!/ で幕が開いて、本当に新鮮にびっくりしたんです、渡辺くんがあまりにかっこよくて。あれだけハードルを高く上げていたのに。まあ、この話を真顔でしたら友達たちには爆笑されましたけど…!w でも、本当にかっこよかった。「渡辺くんってこんなにかっこよかった?」って何度も思いました。

幕間を除く約2時間半の公演の中で好きだと思った曲や場面はたくさんあったけれど、特に印象的だったのは一幕ラストの鶴の舞でした。真っ白な世界(青もあるけど)の中に突然大量の赤が暴力的に現れて、じわじわと滲んでいく中に佇む渡辺くんを見てわたしは心の底から「きれいだ」と思いました。そして「たぶん、今、わたしはまた新しく渡辺くんを好きになった」と自分の中のもう1人の客観的なわたしが言うのを感じました。凛とした渡辺くんも、その景色自体も、それくらいに凄まじく美しかった。わたしの中で確実にあの瞬間、ほんの一瞬だけ時間が止まったような感覚でした。

渡辺くんを好きになった瞬間の、あのハッとするような感覚を濁らせたくなくて、上書きしたくなくて、歌舞伎に行くのを躊躇っていたのだけれど、結果的にわたしは行く前に想像していたのとは違う感覚を得て帰ってきました。上書きとか更新とかじゃなくて、言うならばファイルの新規作成のような、新しいノートを使い始めるようなかんじで、わたしはもう一度渡辺くんを好きになったような気がしたのです。同じ人に対してまた新しく恋に落ちたような感覚。テレビや雑誌、ステージを通してという意味ではすでに知っている人だったはずなのに、予想外に新鮮な印象を投げつけられて、その瞬間、世界が一瞬止まった気がして息を飲んだ。
きっと今年の歌舞伎も、特別なものになりそうです。