眩しく輝くものが壊れないように

好きなアイドルについて考えるとき、自分と似ているから好きになったのか、自分と全く違うから好きになったのか、ということをよく考えます。考えたからどうなるっていうわけでもないことなんですが、それでもよく考えます。

自分と似ているのか全く違うのかを比べる前提として、「相手のことを知る」という作業が付随してくるわけですが、ちなみにこの場合の「相手のこと」は「相手のあるがまま」ではなくてもいいと思っています。わたしはアイドルとしての誰かを好きになったり大切だと思ったりしているのだから、それが本当のその人の姿じゃなくても全然いい。その人が見せたいアイドルとしての姿がブレずにさえいてくれればそれでいいんです。…少し話が逸れた。で、だんだんとその人のことを知るに従って、「ああ、わたしと全然違う考え方だ」とか「あ、わたしもこういうときはそう思うタイプだよ」というように自分と比べてしまうんですが、思い返してみれば今まで好きになった人はどちらかというと自分と似たタイプの思考をする人が多かったように思います。



話は飛びますが、先日代々木で行われたえびのコンサートに行ってきました。初日のアンコールで、Za ABCを歌いながらはしもとくんはバックで踊るすのーまんのほうを振り返り、渡辺くんのところへ近づいていきました。はしもとくんは自分のソロパートを歌いながらマイクを渡辺くんのほうに向けます。わたしはそういうときのリアクションとして一緒に歌う、もしくはじゃれあうというような選択肢しか浮かびません。でも、渡辺くんはそうはしなくて。「いや、いい」とそれを拒み、はしもとくんはチェッという顔をしてステージ近くのファンに「翔太歌わないんだもん~」というような表情をしたそうです。*1

その一連の様子から、3年前のある瞬間のことを思い出しました。ぬんぼがえびと共にクリエでコンサートを行った最終日のダブルアンコールでのことでした。曲は確か限界メーターで、野澤くんと真田くんとそれからはしもとくんの3人が中心となってステージ上で歌っている姿を見て「TOP3はやっぱりかわいい…!」とわたしはとても興奮していたのですが、そのときに野澤くんが踊っていた渡辺くんに近づいて自分の持っていたマイクを向けたのです。そのときも渡辺くんは「いや、いい」と拒んでいて、当時渡辺くんのことをそんなに知らなかったわたしにはその場面がとても衝撃でした。そういう場面でそういう行動をとるというのは意外でしかなかったので、わたしには渡辺くんがそのときどういう気持ちでどういう理由でそうしたのかというのを想像することさえできませんでした。*2


それから3年経って、また同じような場面に出くわしたというわけです。前述の「好きなアイドルが自分と似ているかどうか」という話に戻ると、わたしは今までずっと「自分と似ている人を好きになるほうが楽だ」と思っていました。自分と似ているということは、相手を見ているなかで「えっ?」と引っかかることが少ないということだし、余計なことにヤキモキせずに安心して見ていられるということに繋がるから、と思っていたのです。

でも、渡辺くんは今までわたしが好きになった人のなかでだれよりも自分とは似ていない人だと思っています。渡辺くんはわたしが選ぶのとは違うほうにばかり進んでいく人のようです。最初はそれに戸惑ったし狼狽えたけれど、でもだんだんと、まあ、そういう人を好きになるのもおもしろいかな、とも思うようになりました。事の大小はあるけれど、いつもなにかしらに驚かされるということはいつも新鮮な気持ちでその人のことを知っていけるっていうことだもんなあって。

先日の代々木での驚きが3年前の記憶を呼び戻し、それらが重なりあったことでまたひとつわたしの中で渡辺くんについての何かがすとんと収まった。こうやってゆっくりゆっくりその人のことを知っていくのもそれはそれでアリかもしれないな、と今は思います。「よく分からないのはこわいからいやだ」じゃなくて「よく分からないからこそおもしろい」っていうのもあるし、その「よく分からない」をひとつひとつ拾い集めていく作業もそれはそれでとても愛しいことだなあと思うのです。最終的に拾い集めたものたちを分析して勝手に相手の人物像を形成してしまうようになったらどうしよう、きっとそれでは息苦しくなってしまうのではないか、と憂うこともあるのですが、今はまだたくさんの意外性を楽しみながら集めていくことに夢中になっていてもいいのかなと思いました。集めた先になにがあるのか、たくさん集めたらどうなるのかは、まだ考えることを放り投げてしまっていてもいいよね。

*1:わたしは渡辺くんのほうを見ていたので、はしもとくんの表情は見えなかった

*2:まあ、その行動に至った理由を無理矢理いくつか考えることはできたけれど、そのうちどれが正解なのかは全くわからなかった